戦う君よ、世界を愛せるか。

自己泥酔でふらふらなオタク

「ジャニーズWEST」と書いて"人間讃歌"と読みたい話〜【生配信ライブ W trouble】レポ感想〜




いつもより貯金の増えた年になった。

そうぼんやり振り返る程には、随分とあちこちを飛び回るオタク生活を送ってきた。



3/29から予定していたジャニーズWEST全国ツアー【W trouble】は、現在も続く世の中の禍により、延期、中止に。
そして中止の発表からしばらくして、ジャニーズネットオンラインでの生配信ライブが決まった。


勿論会場に行けないのは残念ではあるのだけれど、私は失くした物を指折り数えるより、得た物を大切に抱く人間でありたい。……と綺麗な言葉にしてはみたが、要はスーパーポジティブ人間なので、こうなったもんは仕方ない、遠征の交通費1回分で、全ステしてもお釣りが来るなんて!と、ウキウキでカードを切って配信当日を心待ちにしていた。

その間にも他GやJr.の配信をホイホイ観ていたし、自担グループといえど"配信ライブ"と云うものに対して、やや軽い気持ちで挑んでいたのだと思う。

【W trouble】を全日観た今、そう思い至るくらいには。











一時間前からログイン出来るジャニーズネットオンラインの配信ページでは、待機画面と共に様々なジャニーズWESTのインストが流れていた。
そんな待機画面は開演20分程前になると、突然会場内に切り替わり、客席をゆっくりと映し始めた。その座席ひとつひとつには、ジャニーズWESTがファンから募った手作りの団扇が置かれていた。団扇が映ったのは初日だけだったのだが、以降も大体開演15分前程になると、会場の画面に切り替わった。

映し出されるのは、メインステージにおりた紗幕にグラフィティアート集団【W trouble】の記事が書かれた英字新聞。入念に作り込まれた世界観に感動したのだが、今回に限っては特筆すべきはそこではないのだろう。

何よりも、まるで座席に座っているかのような角度からの映り、待機画面のBGMではなく実際に会場で流れている馴染みのインスト。
ジャニーズWESTのライブでは、開演前の客入れBGMに合わせてファンが歌い踊る「ジャスミングアップ」(本人達命名)がある。
まぁ良し悪しは人によりけりだろうし、実際に私も気が向いたら手振りをするくらいなのだが、自分は存外、あの空気感が好きだったらしい。
配信という、会場を共有出来ない状況でもこうして少しでも実際のライブの空気感を伝えようと、色々思案してくれたのであろう様子が開演前から感じられて、とても嬉しくなってしまった。
初日は雰囲気重視でアンバーだった照明が、途中から7色に変わっていたところも、ささやかな愛を感じた。


客電が落ち、OP映像が始まる。
アルバムから続く「芸術が禁止された世界」と云う世界観を基に、スプレー缶で繋ぐメンバー紹介。

W troubleのイントロが流れはじめ、メンステの紗幕の向こうに7色のマスクがぼやっと浮かび上がる。7分割の画面に映されたメンバーがマスクをゆっくり外そうとしたところで、スパークルがメンステから外周をなぞりセンステに到達すると、特効とストロボと共に、先程まで無人であったセットにメンバーが現れた。

これ会場だったら、初日みんなの目線はまんまとメンステで騙されたんだろうなぁなんて思いつつも、映像だからこそ出来るイリュージョンのような登場には、早速配信の良さを活かしてくるじゃん、最高!となった。



01.W trouble

そのまま始まるアルバム世界観そのもののリード曲。
有刺鉄線や金網に囲まれ、無造作に置かれたドラム缶や鉄骨に屯するメンバー。
アルバムの世界観では【W trouble】はある種正義であるが、グラフィティアートは基本的には大分濁して「よろしくないこと」である。
その絶妙なラインを見事表現するセットとジャニーズWESTの佇まいに一曲目から最高を確信した。丸々振りがついている曲を敢えて踊らず、こういった表現でぶつけてきたのは大正解だと思う。

一人一人の歌い方とか、サングラスとか、言いたいことは山ほどあるが、このスピードで書いていたら年を越してしまう。もう少しサクサク書いていきたい。
あ、でも炭ガスに直接色をつけているのを見たことがない(技術的に難しい?)んだけど、W trouble終わりに炭ガスに直接スポット当てて7色にしていたのがめちゃくちゃかっこよかったです。



02.one chance

やるだろうとは分かっていた曲なのだが、実際に2曲目に持ってこられるとあまりに鮮やかな流れで感嘆した。

「芸術が禁止された世界で人々を解放すべく世界に抗う謎のグラフィティアート集団【W trouble】」

そのコンセプトの中で

救世主が必要なんじゃない?

何が正しいかはわからないよ
だけどLive your life. 描いていくのさ その手で

は天才すぎて目眩がした。
全体的に歌詞がW troubleの世界にマッチしすぎていて「あれ?これW trouble収録曲だっけ?」と混乱した。
あと毎回最後に抜かれる淳太くんのキメが最高に好きだ。



03.Unlimited

この曲はドームにとっておくかなぁと思っていたので意外だった。が、大好きな曲なので嬉しかった。
個人的にこの曲のイメージが「光の三原色を混ぜた先の白」であり「どこまでも続く真っ白な光の世界」だったので「W troubleが救世主として現れ、解放された世界」と考えればなるほど、なんともストーリー性のあるセトリの組み方である、深読みのしすぎかもしれないが。



04.プリンシパルの君へ

またしても配信ライブの良さを使った早替えで雰囲気を変えてのプリンシパル
今回のライブは当初、WESTとしては初めてのペンライト制御を使う予定だった。きっとこの曲の小瀧くんの魔法も、本来ならファンのペンライトにかかっていたのだろうと思うと少し残念だが、発売時通りに最初から最後まで踊るプリンシパルが見られたのはとても良かった、好きなので。

【W trouble】が救世主として人々を解放し、真っ白に生まれ変わった世界を、新たにそれぞれが好きな色で塗り替えていく。と云う、ここまでで一つのW troubleとしての世界のオープニングであったように感じた。



05.WESTォォォォ!!!〜愛のセッション〜

最初に曲だけで聴いた時、これライブでどうするんだろ…と思っていたのだが、テロップと自己紹介でこれまた配信ライブと相性ドンピシャ、いやはやジャニーズWESTさんの楽曲調理の上手さには毎度毎度脱帽である。



〈Inter〉



06.Try me now

背面いっぱいのLEDモニターにタイトルが映し出されると、それが徐々に回転していき、治安の悪い路地裏のようなセットが現れた。
何かしらの帝劇を通ってきた人なら、どこかしら見覚えがありそうだ。

一面LEDモニターは個人的には大好きなのだが、あの機構の真価は会場で一番発揮されるものであり、その上画質問題で配信ライブとは相性がすこぶる悪い。
WESTの今回のライブは本当に直前で延期になったので、機構はすでに完成していたものであろうから仕方ないのだが、画面越しではこの魅力を存分にお伝えできないのがとても悔しい。と、なぜか観る側の私がそう思うのだから、今回のプロデューサーである流星くんはもっと思っているだろう。
それにしたって、今回は結果的に配信になったのでそこまで物珍しくないように感じるが、実際ライブでこの回転機構使うって中々チャレンジングだったと思う。いいよ、流星P、最高だよ。

曲に戻るが、この曲はどちらかというとセクシーにチョエク系でくると思っていたので、ガラ悪く力強いBeliever系でこられてビックリした。まぁ冷静になれば曲調はそうなんだけども、歌詞に引っ張られていた。心の準備が出来ていなかった。
パルクールを取り入れたり、何よりがなりがちなWESTの歌い方が最高にかっこよかった、痺れた。私はがなる照史くんに大変弱い。



07.Glory days

からのGlory daysは「超絶陽キャ集団〜〜〜!!!」と心の拍手喝采だったのだが、

また集まって騒ごうぜ LALALA…

あの日みたいに遊ぼうぜ LALALA…


が今の状況とリンクして、夕暮れのようなライティングも相まってしんみりしてしまった。
「これから先もWESTでいたい」と替え歌してくれる淳太くんが大好きだ。



08.Survival

神山くん作詞作曲振付のジャニーズWEST新たな決意表明の曲。
神山くんの、歌詞をイメージした振りが入るダンスがとても好きなのだが、今回も「睨みつけた鏡の中」で二人向かい合うところとか、「ガキの頃に胸を張れる俺でいられてんのか?」で自分の胸をトントンとするところとかめっちゃ好きだった。多分他にもあるんだろうけど、なんせ配信だとアングルが限られてくるので…悔しい…その美しいダンスをもっとよく見せておくれ…。
「蟠りの弾を込めて」の後のShelter移動(私が勝手に呼んでいる)もかっこよくて好き。
「まじで命懸けなんだ」の時に神山くんをセンターに、全員が繋がっているフォーメーションになるのがすごく好き。
芸能界という競争社会で「生き残る」、その為にジャニーズWESTは7人全員で、生きるも死するも共にする運命共同体である、そんな表現に見えた。あー無理かっこいい。(突然の語彙消失)

今回の振付は素人目から見ても、派手さ控えめだなぁ、その分細かくて大変そうだけど。と思っていたのだが、どうやらそんな呑気なものではなかったらしい。詳しくはすや先生のブログを読んでくれ。

WESTさんは、前回のライブからダンス曲の歌の被せも当てもガクッと減らしてきたと思うのだが、この曲多分2年前なら半数は当てと被せだったと思う。それを当てないどころかほぼ被せない(サビの被せは流石にわからんが)9割生歌、で、あの安定感と力強さ。
大好きな人間にこんなこと言うのはどうかと思うが、マジで化け物かよ…と。

あとTwitterにも書いた「未来(あす)はこの手の中」でそれぞれにメンバーカラーのスポットが当たるライティングが大好きだと思ったら、ここは神山くんの演出だったらしい。なんと…。神山くんの「カッコイイ」の感性大好きです。



09.Special Love

あのSurvivalを歌い踊った後、大して間も空けず歌ウマ三銃士がハモり始めた時には思わず笑ってしまった。
いや、体力どうなっとんねん。なんで誰一人息上がってないねん。こちとら駅の改札から地上までの階段でどんだけ息切れ続くと思てんねん。私がメンバーなら流星Pの鬼畜セトリに逃亡を計っていたと思う。これにキッチリ応えるジャニーズWEST強すぎるよ…。

さて、センステを囲むように四方を紗幕が覆い、そこに歌詞が映し出されるという、美しい演出。
私はこの紗幕はベール、後半に舞い散る花弁はフラワーシャワーだと思っているので、Special Loveは実質結婚式です、リンゴーン。



10.証拠

OPのW troubleでスネアが鳴った瞬間に「生バンド入っとるやんけ!?」と興奮したのだが、まさかがっつりコーナーまであるとは。
それにしたってこのバンドコーナー(と敢えて呼ぶ)は、現在のジャニーズWESTととんでもなく相性が良かった。

今年唯一リリースしたシングル、証拠。
歌番組で幾度も披露したこともあり、それなりに浸透率も高く、グループのパブリックイメージの振り幅変化、売上もええじゃないか以来の初週20万枚突破と、本人達も言うようにまさに「転機」となるであろう一曲。

去年一年を通して「応援」をテーマにシングルをリリースしてきたジャニーズWESTにとって、その「軸」はどうやらしっくりときたようで、この証拠でそれは確固たる武器へと昇華したように思う。

歌い慣れているおかげもあり、メンバーが伸び伸びと楽しそうに歌っている姿がとても輝かしかった。

あと多分初日にはなかったと思うのだが、出だしサビで彼らに当たるフットからのパーの生明かりがめちゃめちゃかっこよかった。こういう変更も流星Pが連日詰めていったのかと思うと、本当にお疲れ様です…好きです…。



11.アンジョーヤリーナ (日替)

まだ一度も披露されたことがなく、シングル初回盤のカップリングにも関わらず、メンバーからもファンからも絶大な人気を誇る「アンジョーヤリーナ」
最初にタイトルが出た時はいつものオモロ曲かとTLで盛り上がっていたが、ラジオで初解禁されたあの時の感動は今でもよく覚えている。
一刻も早く聴きたい気持ちと、初めては野外かドームで、生で聴きたい気持ちがせめぎ合っていたのだが、結果的にこの配信ライブで聴くことが出来て本当によかったと思っている。

小瀧くんのオチサビがとても綺麗だった。小瀧くん、ほんっっっとに安定感グンと伸びたよね。

最終公演、今にも泣き出しそうな、そんな風にも見える顔で歌い出した重岡くん。
そこへ神山くんが寄ってきて力強く肩を抱くと、フッと顔を緩ませ、くしゃくしゃに笑いながら肩を組み、二人で「愛せ 君の人生」と強く歌った。

私が映画監督ならこの1シーンを撮る為に、小説家ならこの1行を書く為に、漫画家ならこの1コマを描く為に、その作家人生総てを捧げたっていいと思えるような。
そんな、今の何者でもない私では到底表現できないあの瞬間が、今も脳裏に焼き付いて離れない。



11.ANS (日替)

2公演終えたところで、ANSを歌わないとは思わなかったな〜と油断していたところに日替わりぶっ込み。ですよね、ジャニーズWESTがメンバーが作った曲をこんな絶好の機会に披露しないなんてそんなこと、するわけないもんね。
流星くんと神山くんのツインギターがとてもかっこよかった。神山くんは流石のギターソロ。
ANSの出だしのフェイクが、自分が担当しているフェイクの中で一番好きだと言っていた濵田さんが印象的だった。



12.週刊うまくいく曜日

今回、一番化けたな〜と思ったのが他でもないこの曲だった。まぁまだ発売もされていないのだけども。
ラジオで初解禁された時は正直あんまりしっくりきていなかったのだが、配信ライブでどんどんとメンバーがこの曲もモノにしていき、曲がメキメキと育っていく様は見事であった。
歌番組で披露する前に配信ライブがあってよかった。あの仕上がった状態で世間にお披露目出来るかと思うと今から楽しみでならない。


〈MC〉


13.The Call (濵田・藤井)

コンテンポラリー的なダンスでくるかなぁと思っていたが違った。例えるならSCARSみたいな音の取り方?なのかな?音の取り方がすごく好きなダンスだった。
窓に雨粒が付いたような背景、揺れて消える人影、フラッシュバックのような歌詞の出し方、繋がらないままの電話の音波がメンステいっぱいに伸びるブレイクと、モニターの使い方がとても好きな演出だった。
初日では音波の所のカメラワークが違ったはずで、勿体無いなぁと思っていたのだけど、次の日から一番魅力的に映える正面で引きになっていて流石だと思った。あと音響の修正も…まぁこの曲に限ったことではないけども…ごにょ
濵田さんの英語の歌い方がめちゃめちゃ好きだったし、流星くんは本当に努力が目に見えて成果に出てきたよね…好き…



14.Gimme Gimme Gimme
(中間・桐山・神山)

歌い出しの淳太くんはソファに腰掛け、横たわる女性(マネキン)の髪を撫で、電気をカチリと消す…絵に描いたような中間淳太だった 。(絵に描いたような中間淳太)
それにしても淳太くんがいるユニットは毎度小道具フル活用するよね、好き。
パートが移ると、照史くんが花束を手に外灯の下に。「マジでピュアなんだね」と歌いながら花束を地面に投げつけて、花弁が散るような演出がめちゃめちゃ好き。今回のモニター演出で一番好き。「マジでピュアなんだね、と言いながら花束を投げ棄てる照史くん」がドヘキに刺さって抜けない。他の誰でもない、照史くんがするからこその破壊力。
そのままワンカメで神山くんのパートへ。お酒のあまり得意ではない神山くんの前に、申し訳程度にちょこんと置かれたカクテルが可愛い。
可愛いとか言ってたら、ばど二人を引き連れてラップパート歌いながらレッドカーペット闊歩する神山くんはどちゃカッコよかった、好き。
衣装も演出も全部引っくるめてキッチリ期待されたものをお出しする、優等生ユニットだったなぁ。



15.do you know,girl??
(重岡・小瀧)

こたしげがユニット組むなら、シンメじゃないけど、ボニバタとか欲レみたいな王道ジャニーズシンメ曲やってほしいとずっと願っていたんだけど、今回はくじでジャンルまで決まったので少ししょんぼりしてしまった。が、あのくじがなければ、こたしげから「0.01パスポート」と云うワードが出てくることは一生なかったであろうから、神様の気まぐれには大いに感謝したい。

デビュー後こうして重岡くんがライブでギターを弾くのは恐らく初めてだと思うんだけど(なんとなく弾けることはどこかで聞いた気がする)、あまりにしっくりきすぎている為か、オタクがこのことについてあまり話していないのがちょっと面白い。あとサングラスかけるなら事前に言ってください、こちらも心構えが必要なので。

小瀧くんはライブでは2度目のギターということもあって、アコギの時より余裕を持って音を楽しんでいる様子が微笑ましかった。得たものを伸ばしていく姿勢、とても好きです。

ラジオでも言っていた「do you know, girl?? sweet kiss??」=「どーゆーのが好き?」と云う言葉遊びを、音源よりもハッキリと歌っていたのがとても良かった。


〈Jr.コーナー〉


16.Go Low Low

シックなスーツに身を包んだWESTが並べば、前半の治安の悪そうな路地裏セットが一転、ホテルのバルコニーに見えるのだからすごい。
ヘッドセットどころか、片手にハンドマイクを持っても違和感なく踊れそうな歌パートの振付なのに、あえて横から伸ばしたマイクスタンドで歌うところが最高にお洒落。
ソーシャルディスタンス仕様(違う)で距離を取っているので、これは現場で自担ロックオンせざるを得ないやつ。そして公演後のご飯会で「他の人そんなんやってたん?知らんかった大会」が開かれるやつ。マルチアングルくれ。
地味に曲最後に抜かれる人がガチャだったが、本当に同じ振りか?と思うほど各々個性的だったのが面白かった。マルチアングルくれ。



17.君だけの 僕だけの

分身の術を使い、ジャニーズWESTが14人になったと騒ついた例の演出。
映像配信であることを逆手に取り、カラクリ自体はごく単純なものだが、初見で観客をビックリさせられたのならばそれはもう「勝ち」なのである。

はじめから描いてた 未来とは違うけど
君だけが 僕だけが生きてきた日々
迷っても選びながら 迷っても進みながら
君だけの僕だけの道を歩いてきた意味を

時計の針のカチカチと云う音がすると、機構が割れ、真ん中から白い衣装を着たWESTが登場し、黒い衣装を着たWESTはゆっくりと流れていく。
それは曲中の過去と未来、時間と心情の移ろいを表現しているように感じた。
とすれば、"生配信"でわざわざこの演出を使ったことにもなるほど納得である。



18.アメノチハレ

そんな過去から未来へと歩み出そうとする曲の後にこのアメノチハレを持ってくるのだから、割と意図的なセトリなのではないかと勘繰ってしまう。
WESTといえば、流れるように美しいセトリの組み方が特徴だと思うのだが、全体的に今回は、音の繋がりよりも言葉の繋がりに重きを置いたセトリの組み方をしているように思えた。

尺の都合か、ライブでシングル曲をテレビサイズの切り方をした形で披露するのは珍しいなぁ、と。



19-a.Colorful Magic(日替)
19-b.HEY!!!!!!!(日替)
19-c.ごっつえーFriday(日替)
20.アカンLOVE〜純情愛やで〜
21-a.おーさか☆愛・EYE・哀(日替)
21-b.スタートダッシュ!(日替)
21-c.バリハピ(日替)
22-a.100%l Love You(日替)
22-b.人生は素晴らしい(日替)
22-c.ジパング・おおきに大作戦(日替)
23-b.ホメチギリスト(日替)
23-c.ズンドコパラダイス(日替)
24.パリピポアンセム


YouTubeにアップされたティザー映像にて、今回日替り曲があることは予告されていた。
事前に言ってくれるなんて優しいなぁと思っていたが、彼らの優しさはそんなもんじゃなかった。
いくら振りや動線に変更がないとはいえ、これほどごっそり変えてくるとは思わなかった。全部書き出してちょっと引いた、ジャニーズWESTのサービス精神に。…嘘ですめちゃめちゃ嬉しかったです、ありがとうございます。


このファンサコーナーの発端は、8/1に松竹座のドリアイで、客席にファンから集めた団扇を置いて行った公演だ。
最初は、どうなんやろな〜と思っていたが、実際に8/1の配信を見ると、想像以上にいい企画で、本人たちも手応えを感じたのだろう。
今回は城ホというアリーナクラスで通常とほぼ変わらない座席数、そのひとつひとつに、わざわざメンバーごとの区画を作り一枚一枚丁寧に置かれた団扇は、空っぽの客席を実に華やかに埋めていた。

自分の名前の団扇をニコニコで持ったり、要望に応えたり、オモシロ団扇に笑ったり、他メンバーに団扇を届けたり、シンメの団扇を身に纏ってみたり。
縦横無尽に会場を駆け回り、メンバーがそれぞれの形で目一杯のファンサービスをする姿は、ライブの時のソレとなんら変わりはなかった。


私がジャニーズWESTのライブに行って驚いたことのひとつが、全員がとても丁寧にファンサをしていることだった。
ドームではない、アリーナと云う会場の大きさもあるのだろうが、それにしたってデビューして5年6年経っても、未だあれほど丁寧なファンサをすることが、今でも半ば信じられない。

当時既に松竹座からは卒業し、関ジュコンにもたった一度しか入ったことのない外野だった私でも「"あの"松竹座」と言ってしまう「あの時代の松竹座」で長らくメインを張ってきた精鋭。
その時の名残がデビューしても彼らの中にあって、クセというか当たり前というか、そういったものの延長なんだろうなと勝手に思っていた。

それは少し違っていたのかもしれない。

間で何度も、団扇を送ってくれたファンに感謝を述べ、嬉しい、寂しさが軽減される、みんながいるみたいだと、優しく笑ってWESTは言った。
重岡くんは団扇を「ファンの人からのお手紙みたいな」とも言っていた。
彼はあまりファンサをしないと言われることが多いが、決してそんなことはないと思う。実際、私の短いWEST担歴の中で、自担である淳太くん以外で唯一ファンサをもらったことのあるメンバーが重岡くんだ。(勿論重岡くんの団扇を持っていたわけではない)
配信を見ていた人ならばきっと分かるだろう。彼が、彼らが団扇を見る時に、とても優しい目をしていたことが。

ジャニーズWESTのファンは、ジャニーズWESTに愛されているんだなぁ、と。
実際に会えない、離れているからこそ、互いの大切さを思い知る。そんな安い恋愛ドラマのようなことを、考えてしまった。
自意識過剰だろうか?いやきっと、ファンとアイドルの関係なんて、これくらいで丁度いいのだと、私は思う。


〈Inter〉


25.Big shot!!

昨年ジャニーズWESTスペシャルサポーターを務めた、W杯バレーの映像が映る。
あれからもう一年経つのか、と時の流れの早さに少し慄いた。
見慣れた赤い衣装はライブ仕様にキラキラと輝きが増していた。
ライブでは未披露であるものの、歌番組でも会場でも何度も歌った曲だ。こちらも証拠同様、とても安定感があった。
ヘッドホンをしていたわけではないので確信は持てないが、最終日オーラスだけ歓声が入っていたと思う。



26.to you

ラジオでメンバーが「この曲はライブの大事なところにくると思う」と言っていたと思うのだが、言葉通り本編ラストにきてとても嬉しくなった。
様々な人との「別れ」をテーマに、重岡くんが作詞作曲した曲だが、どこか明るさと寂しさが共存する、泣きたいような笑いたいような楽曲の雰囲気が、本編の締めとしてピッタリはまっていたように思う。
特に2番からの歌割りは秀逸だ。

お前の恥ずかしい過去知ってるぜ
お互い様か ネタには出来ないな

‪「俺からしたらさ、照史と淳太って昔B.A.D.やったやん、関西Jr.で組んでて。でなんかほら、お互いめっちゃ分かり合ってるけど、絶妙な距離感とかあるやん?それをなんかね、二人で歌ってくれたら面白くなるかなって思って」


そう言って重岡くんが歌詞を割ってくれた通り、実際に歌いながら互いを指差し肩を組む照史くんと淳太くんには、なんとも言い難い感情が込み上げた。
それに続く流星くんと小瀧くんの所謂ツインタワー、そして神山くんと重岡くんのシンメ、かみしげ。
シンメで歌い繋いだ後に「信じてる道 進むんだ お前の夢笑わないぜ」とソロパートを歌う濵田さんを、メンバー全員がにこにこと見守る。

これはきっと、メンバーである重岡さんにしか出来ないパート割だったんだろうなと思う。

大サビ前の重岡くんパート「どいつもこいつもいい顔で」
毎回毎回、どいつよりもこいつよりも、貴方が一番いい顔してるよ、なんて言いたくなるくらいの彼の笑顔が、鮮明に浮かぶ。
オーラス公演だけ、ここが引きで、モニターでメンバー全員の顔が見えるカメラワークになっていたのも、すごくよかった。



メンバーそれぞれが短い挨拶を挟み、最後に淳太くんが「チームジャニーズWESTにしか描けない未来を、これからも一緒に描いて行きましょう」と締めると、それぞれがメンバーカラーのスプレー缶を振り、炭ガスに紛れ【W trouble】もといジャニーズWESTが姿を消して本編は終了となった。
相変わらずコンセプトに沿った締め方をするWESTの演出が大好きだ。




EC.ええじゃないか

本編を終えた画面には、リハ映像をバックにエンドロールが流れ始める。
終盤になると、打ち合わせで話しているような映像が挟まり「言うてもジャニーズってついてるし」「光るのは俺たちやから」とメンバーが語る。
これはこの後の盛大な振りなわけであるが、最初はツアーの打ち合わせを継ぎ接ぎして、それらしい振りVTRにしているのかと思った。
しかしよく見たら、全員近々のビジュアルだった。恐らくこの為にわざわざ打ち合わせっぽく撮ったのだ。笑いへの前振りに余念がないジャニーズWEST、最大級に愛した。


W troubleのイントロが流れ、メンステの暗闇に浮かぶ7色の光と丸いシルエット。
オープニングをセルフパロディし、満を持して現れたのは、彼ら曰く「真の姿」、たこ焼きを被ったジャニーズWESTであった。
最早たこ焼きを被られたくらいでは1ミリも動じないWEST担、いつもはメンバーがはしゃぎまくるアンコのええじゃないかで、その頭部の球体のあまりの重さに全員の動きが鈍っていることの方に笑ってしまった。

舟皿に乗り込み、わっせわっせと自分達を運ぶたこ焼きWEST。
Jr.が青のりや鰹節をキラキラと舞わせる花道を歩いていくたこ焼きWEST。
センステにたどり着き、ゆっくりと回るたこ焼きWEST。
そうして曲が終わり、遠く引いた画に某国営放送をパロった[終]のロゴで配信は一旦幕を閉じた。いや、シュールか。


そのままFC会員限定ゾーンが始まるのだが、一息ついたWESTは、めちゃめちゃゆる〜い空気で進行をしていく。
「ここからは一番身近なみなさんとの時間ですからね」なんて言って、肩の力を抜いてゆるゆる喋るメンバーに、なんだか気を許してもらっているようで、少し嬉しくなってしまったりするなど。

本来、ツアーで流す予定だったゲームコーナーの前振りVTRをみんなで鑑賞し、少しまとめて、オーラスは濵田師匠の一本締めと「長おもんない」はまこた謎のコントで今度こそ生配信ライブ【W trouble】は幕を閉じた。









ジャニーズWESTのライブにはテンプレートがあると、個人的には思っている。
それに当て嵌めればまず外すことはない、そんな「型」が。

昨年の5周年の集大成のようなライブ「WESTV!」はある種、その型を使ったひとつの完成形に達していたと思う。


今回のライブ「W trouble」は「ジャニーズWEST史上一番かっこいいライブ」と銘打たれていた。
普段のようなオモロ曲割合が少ない・あるいはコントやゲームコーナーがない。だからいつものWESTっぽくないライブだった。…とも言えるが、個人的にはいつものWESTらしい「型」を使わなかったからこその印象だと思った。

ジャニーズWESTのライブ構成力は非常に高い。高いからこそ、鉄板の流れが出来るし、外さない。しかしそれは反面、「マンネリ」に繋がる危うさを孕んでいたのかもしれない。


彼らは来年デビュー7周年を迎える。
メンバーの年齢もあがり、シングル曲も徐々に大阪色が抜け、歩むべき方向性もある程度明確になり、今まさにグループとしての転換期にいるのだろう。
事務所でもプロデュース力で名高い嵐の松本さんに師事する流星くんを筆頭に、彼らは現状のライブに満足せず、その安定に胡座をかかず、さらにいいモノを作ろうとステップアップしている、丁度そんな時なのではないかと思う。

故に私は今回のライブを「成長痛のようなライブ」だと表現した。(意味は大体汲み取ってくれ)
それが的外れだったかどうかの答え合わせはきっと、少し先の未来ですることになるのだろう。




普段私の呟きに付き合ってくれている方は…いや、ここまで読んでくださった方は、私が日頃からどれほどジャニーズWESTのライブにおける構成力を称賛し、技術力に絶大な信頼を置いているかがよく見てとれると思う。

それをここまで1万字以上を使いさんざ書き連ねてきたが、今回のライブで私が何よりも感じたのはそういった理屈ではない、感情としての"熱"の部分だ。


元々彼らはライブと云う場所をとても大切にしている。そこでの熱量も、非常に高い人たちだ。
しかし、よくレポをする私が言うのもなんだが、ライブとは「メンバーとその場にいるファン」とのだけのものであると、私は思っている。いや、思っていた。
いくら言葉や映像で伝えたって、その場その瞬間の「空気」は、そこにいた人以外には本当の意味で届かない、と。

だから今回のあくまで"配信"ライブに対して、どこか軽い心持ちでいたのだろう。
けれどもそれは、見事にひっくり返された。

配信という形で、同じ空間を共有出来ない分、歌、ダンス、言葉、表情、そのひとつひとつから、いま会場にあるジャニーズWESTの熱をそれそのまま届けてやる、たとえ画面を突き破ったとしても。そんな気合が、確かにこちらまで伝わってきた。

そうでなければ、オーラス配信後の月曜朝に感じたあの「土日遠征した翌日の何とも言えない身体の怠さ」と全く同じソレの説明がつかなくなってしまう。



そしてそれを成し得たのは、飛躍的に向上した彼らの「メッセージを届ける力」故ではないかと思う。

初めてジャニーズWESTに触れた時にも思ったが、彼らは歌の表現が実に豊かで、それを駆使して感情を乗せるのがとても上手い。
それは高い技術と、1曲1曲を大切にする丁寧さがあるからだ。

そんな元々の表現力の高さに、さらに歌の中にあるメッセージを「届ける」という熱が加わった。
今のジャニーズWESTの歌にはそんな印象を受ける。

少し先述したが、昨年一年を通し"応援"をテーマに歌を歌った彼らは、それが自分達の「軸」であると、ラジオで触れた。
そして直後にリリースされた「証拠」はまさにその集大成であり、楽曲の持つ強いメッセージ性を身一つで歌うことの大変さと楽しさを、その髄まで味わったのだろう。

暗く沈みがちな今の世の中で、直接会うことの出来なくなった状況で、「証拠」をはじめとする楽曲のメッセージを届けること。

奇しくも重なった様々な要因が、ジャニーズWESTが「メッセージを届ける力」と向き合い、そしてモノにする機会になったのではないかと思う。




オーラス公演、誕生日の近い濵田さんのバースデーサプライズが行われた。
メンバーは勿論、バンドさんや関ジュも総出でお祝いし、ケーキのロウソクを吹き消し、記念撮影をした。
照史くんに促され、今日は忙しくて配信を見られていない両親への感謝を述べる濵田さん。

「俺アホやけど、こんな素敵なメンバーに支えられて生きています!ほんまに大切な仲間を、」

そこで濵田さんはピタリと止まった。
最初は接続詞間違えて言葉繋がらなくなったのかな?と思った。メンバーも「フリーズした」「電波悪なった?」と笑っていたが、しばらくして濵田さんは「大切な仲間と、」と言いながら、そのまま目を押さえ膝から崩れた。
濵田さんが泣いていることに気付いたメンバーは、ひどく驚きながらもわらわらと彼に駆け寄った。
これ以上は不確かな私の記憶で書きたくないので、もし映像に残った際にはその目で確認してほしい。



後のweb更新で濵田さんは、昨年足の怪我により仕事が出来なくなってしまった時のことを、心が折れかけていたと振り返った。そしてその折れかけた心が、テレビからエールを送ってくれた事務所のみんなのおかげで復活したことも。

けれど配信のあの瞬間、濵田さんが何を想い、何故感情が揺れ、どうして涙が溢れてきたのか。本当の本当のことなんて、私達にはきっと一生分からないのだろう。

彼の涙と、彼を囲むメンバー。
その景色だけが、唯一確かな事実だ。



彼らはそうして、時折弱さを見せる。
ジャニーズWESTは完全無欠のヒーローではない。

「俺らもみんなと同じ人間やから」と、楽しいばかりではないことをWESTは稀に吐露する。
アイドルとしてそれが正しいのかどうか。それにはきっと「否」と答える人もいるかもしれない。

彼らは基本的に、その「しんどい」の真っ只中にいる時に、それを表には出さない。
自分の力で、あるいはメンバーの力や周りの手を借りてそれを乗り越えた後、しばらくしてポツリポツリと私達に話してくれることがある。

語弊のある言い方になるかもしれないが、彼らが頑なに見せようとしない"傷"があることは知っている。全てを嘘偽りなく曝け出してくれているだなんて、思っていない。

それでも、今まさに傷をつくって血を流している人へ、自らのカサブタの残る傷口を見せながら「俺もおんなじやから。大丈夫、ちゃんと治るよ」なんて笑いかけてくれる。

重岡くんの言う「強く優しく」は、そんなジャニーズWESTのことではないかと思う。





人生は楽しいことばかりではない。
辛いこともしんどいことも、悲しいことも逃げたくなることも、絶望することも死にたくなることもある。

彼らはそれを知っている。
そして、世界はそれを上回るくらいの希望に溢れていることも。

泣いて笑って、怒って喜んで、落ち込んで立ち直って、嫌って愛して。
全部ひっくるめてそれが自分だけの人生だと。


だからジャニーズWESTは仲間と肩を組み高らかに歌う。

「愛せ 君の人生」

と。




照史くんが「生き甲斐」だと言った、
濵田さんが「虹」だと言った、
小瀧くんが「青春」だと言った、
重岡くんが「僕たちがいる」と言った、
流星くんが「一緒に歩んで行こう」と言った、
神山くんが「奇跡」だと言った、
淳太くんが「最強」だと言った、

ジャニーズWESTを。


私は「人間讃歌」であると、そう呼びたい。